税金を滞納したまま放置してしまうと、最終的には、ご自身の財産を差し押さえられてしまう可能性があります。
この記事では、税金を滞納したことで差押えを受けた場合の流れや対処法を弁護士が解説します。
(1) 税金を滞納した場合の差押えまでの流れ
税金を期限までに納付できなかった場合、一定の手続を経て、ご自身の財産の差押えが行われる可能性があります。
ここでは、税金を滞納してから差押えに至るまでの一般的な流れを解説します。
① 税金滞納の発生
税金は、納付期限を過ぎた時点で、たとえ1日であっても「滞納」として扱われます。
滞納が発生すると同時に、延滞税が日割りで発生します。延滞税は、納付が遅れたことに対する利息に相当するもので、滞納期間が長引くほど負担が大きくなります。
そのため、「少し遅れただけだから大丈夫」と考えず、早期の対応が非常に重要です。
② 督促状の送付
納付期限を過ぎると、一定期間内に税務署や自治体から督促状が送付されます。
国税:原則として納付期限から50日以内
地方税:原則として納付期限から20日以内
督促状は、滞納している税金の納付を正式に求める法的な書面です。
この督促状に記載された期限までに納付がなされない場合、発送日から10日経過後には、差押えを行うことが可能となります(地方税法331条1項参照)。
督促状の発送日から10日を経過した日までに納付を行えば、差押えを回避することができます。
③ 電話や文書による催促・催告書の送付
督促状を送付しても納付が確認できない場合、すぐに差押えが行われるわけではありません。
多くの場合、税務署や自治体から電話による連絡や文書による納付の催促が行われます。
それでも対応がない場合には、催告書が送付されることがあります。滞納した税金の支払いを求める一般的な通知文書である督促状に対し、催告書は、法的措置も辞さないことを警告する文書になります。
これらの連絡を無視し続け、納付の意思がないと判断された場合、差押えに向けた具体的な準備が進められていきます。
④ 税務署や自治体による財産調査
差押えを行う前段階として、税務署や自治体は、国税徴収法に基づき滞納者の財産調査を行います。
この調査では、差押え可能な財産を特定するため、以下のような情報が確認されます。
・預貯金の有無・残高
・給与や報酬の状況
・土地・建物などの不動産
・自動車の所有状況
・勤務先
⑤ 差押予告通知の送付
催告書の送付があったにもかかわらず、滞納した税金が納付されない場合、差押予告通知書が送付されます。
差押通知予告通知書には期限が記載されており、この期限までに連絡するか、税金を完納しなければなりません。
⑥ 差押えの実行
予告後も対応がなされない場合、実際に財産の差押えが行われます。
差押えの対象としては、
・現金
・預貯金
・給与
など、比較的手続が容易な財産を差し押さえられることが多いです。
預貯金が差し押さえられると、口座は凍結され、残高が直接税金の支払いに充てられます。
給与の場合は、勤務先から税務署や自治体へ、一定額が直接支払われる形になります。
不動産や自動車も差押えの対象となり得ますが、これらは手続が複雑なため、滞納額が高額な場合などに行われ、優先度は低い傾向にあります。
⑦ 差し押えた財産の換価・充当
差し押えられた財産が現金や預貯金以外である場合、売却などで現金化が行われます。
例えば、不動産の場合は、公売(一般競争入札など)にかけられ、落札代金が滞納税額に充当されます。
差押えによる金額が滞納額を上回った場合、余剰分は返還されますが、延滞税等の影響で返還額が少額となることもあります。
一方、なお不足がある場合には、追加で別の財産が差し押さえられる可能性もあります。
(2) 税金滞納による差押えまでの期間
一般的な債権回収に比べて、税務署や地方自治体による差押えは非常に迅速です。
一般的な債権回収の場合、裁判などを起こして債務名義を得て強制執行という過程を経る必要があります。
一方、税金の滞納による税務署や地方自治体の差押えは、国税徴収法や地方税法に基づき、裁判所の関与なしに行うことができます。督促状の発送日から10日経過後には、差押えを行うことが可能という迅速さです。
最も早いケースで、税金の納付期限から数週間から1、2か月で差し押さえることも可能ですが、実際には、確実に滞納した税金を回収するため、財産調査を実施することになるので、数か月から半年程度の猶予があることも少なくありません。
しかしながら、理論的には、税金の納付期限から数週間から1、2か月で差し押さえることも可能であり、悪質な滞納であれば、迅速に手続が行われる可能性があります。
そのため、督促状が届いた段階で、いち早く対応することが重要といえるでしょう。
(3) 税金滞納で差押えを受けたら?
税金滞納による差押えを受けた場合、金銭的価値のある財産が差し押さえられ、滞納した税金に充てられます。
給与が差し押さえられた場合、給与全額が差し押さえられる訳ではありません。
給与の一部が天引きされ、滞納した税金の完納まで続きます。
例えば、国税徴収法の場合、次の項目を合計した金額は、差押えの対象になりません。
・所得税額
・住民税額
・社会保険料
・滞納者本人の生活費10万円
・生計を同一にする家族の数×4万5000円
差押えが禁止される金額の計算は、以下のとおりです。
(給与総支給額)-(上記項目の合計金額)×0.2
差押えがされる金額は、次の計算のとおりです。
(給与総支給額)-(差押えが禁止される金額)
=(給与総支給額)-{(給与総支給額)-(上記項目の合計金額)×0.2}
(4) 差押えを受けた場合の対処法
差押えを受けた場合の対処法は、次の方法があります。
① 滞納した税金を全額納付する
差押えを受けた場合に、これを解除する一番の方法は滞納状態を解消することです。
税務署や地方自治体が滞納した税金の完納を確認すれば、差押えは解除されます。
② 分割払いの交渉をする
全額納付することが難しい場合には、税務署や地方自治体に分割払いができないか交渉するのも1つの方法です。
具体的にどのように分割払いをしていくかを書面で提出することで、支払う意思を示し、差押えの解除や一時的な納税猶予を検討してもらえる可能性があります。
③ 税金の滞納のほかに借金などがある場合には、個人再生や自己破産を申し立てる
税金の滞納のほかに借金がある場合には、個人再生や自己破産といった債務整理手続を行うのも1つの手段です。
個人再生や自己破産をしても、税金が免除されることはありませんが、税金以外の借金を整理することで、毎月の返済の負担を減らし、滞納した税金の納付にお金を回すことができるようになります。
(5) 税金滞納で差押えを受けた場合に弁護士に相談・依頼するメリット
税金の滞納といっても、その金額や本人の経済状況など、人それぞれ異なります。
また、税金の滞納以外に借金があるという方でも、その借金の金額や状況は、人それぞれです。
そこで、税金の滞納や債務整理に詳しい弁護士に相談して対応策を検討し、その人に合った手続を選択できることが、弁護士に相談・依頼するメリットといえます。
できるだけ早く弁護士に相談し、解決策を得ることが重要です。
(6) 税金滞納で差押えを受けてお困りの方は弁護士法人松本直樹法律事務所へご相談ください
税金滞納で差押えを受けてお困りの方は、栃木県宇都宮市の弁護士法人松本直樹法律事務所にお気軽にご相談ください。
